
サステナビリティ
リファインバースグループ/サーキュラーエコノミーの先駆者①『リファインパウダー』が叶える水平循環
2024.07.09
企業独自のサステナブル活動を紹介するインタビュー企画。4社目となる今回は、株式会社リファインバースグループさんにお話しを伺いました。 こちらはなんと約20年も前に、廃棄タイルカーペットからタイルカーペットへの水平リサイクル技術を構築されたサーキュラーエコノミーの先駆者。タイルカーペットは、ほとんどのオフィスビルで使われている床材なので、身近に感じられる方も多いと思います。その開発背景から現在の取り組み、今後の展開について、同社資源ビジネス部長・瀧澤陵さんにくわしく伺いました。
転機は画期的な技術開発
―今でこそ“サステナブル”という言葉が注目されていますが、20年以上も前からサステナブルな取り組みをされてきた、その背景について教えていただけますか?
瀧澤さん:うちは40年前は、葛飾の小さな産業廃棄物運搬業者だったんですよ。一台のトラックで、首都圏のオフィスやホテルなどの廃棄物を運んでいました。いわゆる、ヤンキー的な兄ちゃんたちがいるような会社でして(笑)。
それがなぜこんな展開になったのかというと、1990年代に入りIT化が加速して、オフィスはOAフロアが主流になった。するとオフィス移転の際に、大量のタイルカーペットが出るようになる。しかしタイルカーペットの裏面に使われる塩化ビニルは、埋め立てしか処分のしようがない厄介者。それなのに廃棄タイルカーペットは増える一方で、産廃業界全体が頭を抱える大きな問題になっていました。これはもう、既存の技術では解決できないということで、設計エンジニアの方に参画してもらい、自社で一から技術開発を行いました。そして、タイルカーペットの繊維層と樹脂層を分離する技術を開発し、高純度・高品質な『リファインパウダー(再生塩化ビニルコンパウンド)』という素材に再生する独自システムが完成しました。
このタイミングで、事業も人も大きくステップアップしていき、現在に至っている感じですね。

左写真:同社資源ビジネス部長・瀧澤陵さん、右写真:オフィスで使われているタイルカーペット
“水平循環の繰り返し”が可能
―本当に劇的な変化ですね(笑)。では、その再生素材『リファインパウダー』がどのように再製品化されていくのか、詳しく教えていただけますか?
瀧澤さん:産廃業者さん中間処理業者さんを経て、選別後のタイルカーペットが届くと、うちの工場で『リファインパウダー』に再生します。その後、カーペットメーカーさんに素材として使っていただいて、またタイルカーペットに生まれ直す流れになります。
この技術の一番すごいところは、“繰り返しタイルカーペットに水平循環できる”ところ。再生されたタイルカーペットも、また処分の際には『リファインパウダー』に戻り、何度も繰り返して同じカーペットに生まれ変われるんです。
この『リファインパウダー』とバージン原料を使用した塩化ビニルのCO2排出量を比較すると、LCA(Life Cycle Assessment)値で約96%減にもなります。また「リサイクル製品は割高になりやすい」と思われがちですが、『リファインパウダー』はバージン素材と比べて若干割安。カーペットに製品化した状態でも、ほぼ同額になっています。CO2削減もコスト削減も、両方実現できる技術が我々の自慢できるポイントです。
現在はリサイクル素材へのニーズが高く、リサイクルカーペットの導入企業さんも増えているので、今後は廃棄カーペットの回収量を増やしていく方策が課題になっています。
タイルカーペットの“当たり前”に
―SDG’sの流れもあり、かなり普及が進んでいると思いますが、実績としてはどのくらいの数字でしょうか?
瀧澤さん:現在、首都圏で発生する廃棄カーペットの50%くらいをうちで回収・リサイクルしていますね。日本全体では約20%くらいでしょうか。年間で言うと、約400-500万平米、東京ドーム100個分くらいのカーペット廃材を再生しています。
すでに20年取り組んでいるので、実際リサイクルカーペットの普及はかなり進んでいます。バージン素材のカーペットと何ら変わらないので意識していない人も多いと思いますが、メーカーのカタログにも必ず載っていますし、近年竣工のビルなどにはほぼ導入されています。「カーペットの当たり前」として定着しつつあるなと日々実感しています。
これほど「当たり前」になりつつある一方で、現実にはリサイクルカーペットがあまり世に知られていないという実態もありまして(笑)。昨年11月に、我々とカーペットメーカーさん、産業廃棄物業者さん、ディベロッパーさんの4業界からなる「日本リサイクルカーペット協会」を立ち上げました。業界の垣根を越えてサーキュラーエコノミーを盛り上げながら、啓もう活動にももっと力を入れていきたいと思っています。
―瀧澤さん、ありがとうございました。何も考えずに日々踏みしめていたタイルカーペットが、とても身近な素敵なものに感じられました。皆さんもぜひ、この機会にオフィスの足元に目を向けてみてくださいね。
後編では、廃棄漁網から作る再生素材『リアミド』について教えていただく予定です。


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