
サステナビリティ
コクヨ/「SUTENAI CIRCLE」が本格始動② 加速する“循環の輪”を見据えたモノづくり
2024.07.04
2023年に循環型社会の実現を宣言し、サステナブル活動を本格的に加速させたコクヨ株式会社さん。前号に引き続き、CSV本部サステナビリティ推進室の横手 綾美さん、ワークプレイス事業本部ワークスタイルマーケティング本部の楠亀 早江子さんに「SUTENAI CIRCLE(ステナイサークル)」の取り組みについてお話しいただきます。 今号では、特にオフィス家具に焦点を当てて、どのように製品の“循環の輪”がつながっていくのか、詳しく伺っていきたいと思います。
長く使うことが環境負荷軽減の最善策
―オフィス家具に関する「SUTENAI CIRCLE」の取り組みを聞かせてください。
楠亀さん:一般に、製品は長く使えば使うほど廃棄や輸送、処分に伴うエネルギーが減ることになり、環境負荷の軽減につながります。つまり“循環の輪をゆっくり回す”ことも、とても大事なことなんですね。オフィス家具は耐久性が高く、まさに長く使える代表選手。
コクヨでは、デスクやチェアーなど複数のシリーズで、パーツの組み換えや交換が可能なシステム「Co・S・M・Oコンセプト」を取り入れたオフィス家具を提案しています。
メインとなる構造体は長く使える耐久性を追求し、各ユニットはトレンドやニーズに合わせたラインアップを用意。必要に応じてユニットを交換し、オフィスニーズの変化やトレンドに合わせて機能やデザインをアップデートできるようにしています。必要な部分のみ最小限のパーツを交換できるので環境負荷低減に直結。長く使える耐久性と、気持ちよく使える快適性が両立したシステムになっています。
当然、ベースとして構造体の耐久性が必要不可欠になりますが、当社では一般的な保証期間を上回る10年保証を一部商品から順次展開しサービスの面でも永くお使いいただくことをサポートしています。
もちろん、日々使うオフィス家具なので、大前提としての使いやすさや快適な使用感はキッチリ追及しています(笑)。

左写真:東京ショールーム内「ワークヴィスタ」シリーズ紹介ブース、右写真:東京ショールーム内「モネット」紹介ブース
―ご利用のお客様からの評価はいかがですか?
楠亀さん:耐久性のあるロングセラー商品として長くお使いの企業様が多いオフィスデスク「ワークヴィスタ」シリーズは、天板などの部位を交換アップデートできる設計になっています。本体を買い替えることなくリニューアルできるので、オフィスの雰囲気が一新したと嬉しい声をいただいています。
オフィスチェアーに関しては、パーツ交換できる新商品の発売が2023年1月なので、未だパーツ交換の実例はありません。ただ購入の際に、サステナ的側面よりも「座り心地がすばらしい」というご評価を多くいただいていて(笑)。当然、製品としての快適性があった上でのサステナなので、とてもありがたく思っています。
循環サイクルのサステナ的取り組み
―循環の輪の中では、具体的にどんな取り組みが行われているのでしょうか。
楠亀さん:まずA=資源調達からご説明します。椅子などは樹脂素材が多いので、リサイクルされた樹脂の採用を積極的に行っています。たとえば、脚羽根やキャスターの部分には廃棄される漁網や自動車部品、ナイロン糸などの再生樹脂をつかっています。
肝になってくるB=製造/設計では、工場でユニットのパーツ減少化や軽量化、強度や性能の向上に取り組んでいます。軽量化し、よりパーツを減らすことで製造負荷を減らしつつも、頑丈にすることで長く使える耐久性を両立させるべく研究を重ねています。
C=組立/出荷では、よりコンパクトに小さく運ぶことで、輸送時の負荷軽減を図っています。また、専用の梱包材は使い捨てず、リユース化を進めています。
Dでお客様が製品を使用されたあと、E=回収となり、専門知識のある業者さんのご協力をいただきながら素材の分別、情報公開をしていきます。
F=再資源化、G=安全性の工程では、他社製品を含め素材の異なる製品も混じるので、再資源化できるか、また強度を保っていけるのかなどの検証を進めています。近年、回収・分別後の分析結果や、どのように再利用されるのか知りたいと言われる企業様も増えているので、そういったニーズの高まりを受けてさらに技術が進んでいくのではないかと思っています。
ただ、使用/回収/再資源化の部分は、すでにお客様の手に渡った後のため、なかなかコントロールがしづらい部分。まずはメーカーとして、メンテナンスや交換などを通して、長くお使いいただける製品づくりに注力していくことが最優先課題だと思っています。
―「SUTENAI CIRCLE」という壮大な取り組みの中で、たどり着きたい“小さな”ゴールがあれば教えてください。
横手さん:大きな目標としては、2030年までに「コクヨグループ(海外含む)が取り扱う循環型商品売上高80%以上」などがあるのですが、‘小さな’は難しいですね(笑)。個人的には循環商品が出揃ってくるにあたり、不足してきそうな交換・メンテナンスなどサポート系サービスを強化させたいですね。
楠亀さん:環境負荷軽減の取り組みの見える化にも取り組みたいですね。例えば、移転の際の環境負荷の割合を定量化できれば、我々だけでなく参画いただける企業様にも、社内外に向けて示せるわかりやすい指標になるのではないでしょうか。

左写真:東京ショールーム内「モネット」紹介ブース、左写真:左より コクヨ株式会社 ワークプレイス事業本部ワークスタイルマーケティング本部 楠亀 早江子さん、CSV本部サステナビリティ推進室 横手 綾美さん、弊社SOI事業部 樋山
―横手さん、楠亀さん、貴重なお話をありがとうございました。
「使える資源を捨てない社会」に向けたモノづくりに取り組まれているコクヨさん。移転の際、オフィス家具を検討される際には、選択肢の一つとして“循環の輪をゆっくり回す”というチョイスがあることを知っていただけたらと思います。
インタビューでは、一部文房具とオフィス家具のみしか触れられませんでしたが、「SUTENAI CIRCLE」の活動は多岐にわたっています。ご興味のある方はぜひ一度コクヨさんのHPをチェックしてみてくださいね。
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