
サステナビリティ
ESG投資の関心高まる!注目のグリーンビル認証
2025.03.31
世界的にSDG’sの浸透が進む中、環境に対する配慮は日本の不動産業界でも欠かせないキーワードになっています。大規模ビルを中心に着々とグリーンビル認証の取得が進み、ここ数年では中小規模や築古ビルでも取得事例が見られるようになりつつあります。 今年、当社でも初めて『CASBEE-不動産/オフィス改修』Sクラス認証の取得に成功。今後、ビルの大規模改修に併せて認証取得を支援するサービスを広く展開していく方針です。当社初の認証取得事例裏話などを絡めつつ、グリーンビル認証についてご紹介しますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。
さまざまなサステナブル事例をご紹介するこちらのコラム。 注目度高まるグリーンビル認証についてご紹介させていただきます。
グリーンビル認証CASBEE(キャスビー)とは
今回は、当社BSC事業部 山田祐衣がグリーンビル認証についてご紹介させていただきます。まず、『CASBEE』について、基本的な部分をご説明します。
正式名称『CASBEE(建築環境総合性能評価システム)』は、省エネや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境負荷低減、室内の快適性や景観への配慮など建築物の品質を総合的に評価する日本独自のシステムです。新築や改修する建築物を対象とする『CASBEE-建築』、既存建築物を対象とする『CASBEE-不動産』、オフィスビルを対象とする『CASBEE-ウェルネスオフィス』などの評価ツールに分かれています。2001年の運用開始後、時代背景に合わせて様々な改訂を重ね、現在では複数あるグリーンビル認証の中でも、日本の風土を重視し、かつ主要な世界の認証制度とのバランスをとった認証として国内で大きなシェアを占めています。

左写真:BSC事業部 山田、右写真:左からBSC事業部 山田、デザイン部 中野
中小規模や築古ビルにこそオススメしたい!
こうしたグリーンビル認証は、「新築や大規模ビルが取るもので中小規模には縁遠い」と思われがちです。実際に今現在、認証取得のメイン層となっているのは、築15年未満の築浅や1万坪以上の大型ビルです。
しかし、2021年から『CASBEE-不動産/改修』のカテゴリが運用開始となり、中小規模でも取得しやすくなっていることをご存じでしょうか。個人的には、中小規模や築古ビルにこそオススメしたい!と強く思っているくらいです(笑)。
『CASBEE-不動産/改修』とは、ビルの大規模改修時に認証取得に向けた改修計画を作成し、その計画ベースで認証取得が目指せるというものです。『改修』以外の場合は、申請時にビル稼働後1年分のエネルギーデータ提出が求められるところですが、改修前の稼働データと改善計画で申請ができるので、工事完了と同時に認証取得も叶います。
ただし現実には、運用開始から3年が経過しているのに、取得実績は当社事例を含めてまだ5件(*1)。認知度が低いことや、専門知識を持つ人が少ないこと、申請に『CASBEE不動産評価員』による評価が必須なことから、ハードルが高いと感じる方が多いのかもしれませんね。
初の挑戦・取得事例ウラ話
では、当社の取得事例についてお話しします。私たちが大規模改修と認証取得を手掛けたのは、「KANDA HIKOBAE」という神田エリアの築34年55坪弱9階建てのビルでした。「このタイミングで社会的・経営戦略的にもインパクトあるグリーンビル認証取得にチャレンジしてみたい!」という思いがオーナーさんのご意向とも合致し、今回の着手に至りました。
私がもともと環境認証に興味を持っていたこと、一緒に仕事をしていたリサーチグループの中野が『CASBEE不動産評価員』資格保持者だったことから、『CASBEE-不動産/オフィス改修』取得に向けて舵を切りました。当社は、内装設計から施工、工事まで一括で請け負っている会社。だからこそ、一連の改修工程に『CASBEE-不動産』認証取得という要素をスムーズに盛り込むことが可能だったんです。
しかし、オーナーさんにパートナー選定をいただいてからは、本当に大変でした。何と言っても初の挑戦。いくら勉強していくら計算しても、評価としての判断に確信が得られない。検証に検証を重ね、Aランク認証を取得予測で申請することになったのですが、結果が出るまでは不安でしかありませんでした(笑)。準備期間を含めて約10ヶ月、結果が最高評価のSランクだったときは、本当に嬉しかったです。現在は、中野だけでなく私も『CASBEE不動産評価員』資格を取得。第2弾第3弾の『CASBEE-不動産』取得案件に取り組んでいます。

左写真:リノベーション工事を行った「KANDA HIKOBAE」のビルエントランス、右写真:「KANDA HIKOBAE」のラウンジエリア
グリーンビル認証はESG投資に効果大
繰り返しになりますが、『CASBEE』をはじめとするグリーンビル認証は、中小規模や築古ビルにもオススメです。認証取得は手間がかかりハードルも高いですが、資金調達などの経営戦略的にも効果絶大。アセットマネジメント、ファンドといった投資案件であれば、特に海外投資家などから投資先として選ばれやすくなります。
また、グリーンビル認証取得を目指すのであれば、「グリーンローン」「サステナビリティローン」といった環境配慮企業を優遇する銀行ローンが利用でき、改修時の借入が有利に運ぶケースも多々あります。入居者さん側の意識も徐々に変わりつつあり、サステナブルなオフィス環境へのニーズも定着し始めています。
不動産業界において、今後ますます欠かせないテーマになっていくグリーンビル認証。ぜひ一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
当社でも、今後『CASBEE-不動産』をはじめ、ウェルビーイング要素を含むグリーンビル認証の取得に一層力を入れていく予定です。内装設計から施工、工事までワンストップ対応している強みを活かし、認証取得を盛り込んだ新しいシステムを提供していきたいと思っています。
(*1)出典:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター.“CASBEE不動産評価認証物件一覧”. CASBEE建築環境総合性能評価システム.2024-06-24.
https://www.ibecs.or.jp/CASBEE/MP_certification/CASBEE_MP_certified_buld_list.htm,(参照2024-06-24)
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